Oliver Beer, Recomposition (Mercury and Argus), 2020, Courtesy of the artist

Kei Okano
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Past Exhibition

オリバー・ビア Ghost Notes (Part 1) Oliver Beer Ghost Notes (Part 1)

February 6, 2021 - March 16, 2021

この度、THE CLUBはオリバー・ビアの個展「Ghost Notes」を開催いたします。

2019年のニューヨークのメトロポリタン美術館での個展を経て、新たな作品を二部構成で紹介します。「Ghost Notes (Part 1)」は、音楽とハーモニーのもつ普遍的な特徴がいかに文明や時代を超えた様々な文化を結びつけているかを探究した、平面作品を紹介。2021年7月に予定されている「Ghost Notes (Part 2)」は、体験型のインスタレーションの展示となります。

「Ghost Notes (Part 1)」では、ヴァイオリン、音叉、色鉛筆、蝶貝の輝く破片、メトロノームなどを、ビアが「二次元彫刻」と呼ぶ、まるで絵画のような作品へと進化させます。実物を精確な角度で切断したものを、それぞれ断面だけが見えるように樹脂の固まりに埋め込みます。それらをさらに完全に平坦な絵画平面になるまで研磨し、制作しています。この独自の制作方法によって絵画と彫刻の両方をひとつの作品のなかへと落とし込みます。立体は平面となり、複数の視点が同時に知覚される「物質的キュビズム」のようなものとなります。ビアによればこうした物質による直接的な伝達は、音の伝達と同じ仕組みよるものであり、まるで「耳で見て、眼で聴く」ように表層を越えて世界を知覚することを可能にします。「ゴースト・ノート」とは多くの場合、ほとんど聞こえないほどに抑えて奏でられる音を意味する音楽用語です。本展覧会では、マルセル・デュシャンが「網膜的芸術」と呼んだ視覚の一般的な限界の先にある世界へと人々を誘い、物質界に内在する音楽性を感じさせてくれます。

「音とは、形態、時間、幾何学、空間に依存する彫刻的な存在です。私たちが純粋に視覚だけで捉えていたら見逃していたはずのものが、音響という観点から物体を見るとき、現れてくるのです。」―オリバー・ビア

弊廊では大切なお客様の安全を考慮し、みなさまに安心して作品をご鑑賞頂けるよう、ご予約制での営業とさせて頂きます。また、スタッフは手洗消毒、マスク着用、体調管理を徹底して、みなさまのご来廊をお待ちしております。何卒ご理解賜れますようお願い申し上げます。
ご来廊をご希望の方は、一日前の18:00までにこちらよりご予約ください。

展示作家

オリバー・ビア アカデミー・オブ・コンテンポラリー・ミュージックで作曲の教育を受けた後、オックスフォード大学ラスキン芸術学校とパリのソルボンヌ大学でそれぞれファインアートと映像理論を学んだ。ビアは彫刻、インスタレーション、映像、没入的なライブパフォーマンスなどによって物体や身体、建築などの隠された特性を表出させる制作を行う。音楽的な記憶の伝承や持ち物に込められた個人的・文化的な意味などの親密で普遍的な関心を扱う分野横断的な作品にはビアの音楽的素養が活かされ、身近な交友や家族がそのブループリントとなっている。ビアの作品は、ニューヨークのメット・ブロイヤー、メトロポリタン美術館、MoMA PS1、パリのポンピドゥー・センター、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン、パレ・ド・トーキョー、リヨンの現代美術館(the Musée d’Art Contemporain)、バーミンガムのIkon Gallery、ブリュッセルのWIELS、シドニー・ビエンナーレ、イスタンブール・ビエンナーレ、国内ではポーラ美術館のシンコペーション展など、多くの個展やグループ展で展示されている。レジデンス活動では、パレ・ド・トーキョー、ウォーターミル・センター、シドニーオペラハウス、エルメス財団において滞在制作を行っている。